2015年10月29日木曜日

つながれていない3匹の犬が自転車の少女を見た


午前10時ごろなら、まだ朝と言っていいかと思う。
ギリギリぐらいで。

僕は小さな川の横を歩いていた。
天気がよくて、平和な感じがする朝だった。

わりとキレイに舗装されたアスファルトの道に1箇所だけ幅の広い部分があって、そこによく車が停まってたりする。
でもその日は車はなかった。

代わりに、おじさんが寝ていた。

ベターッと横になって寝ちゃってる。
そのぐらい平和な朝だった。

おじさんはいつも犬を3匹つれて散歩してる。
この犬たちの特徴は、ロープとかでつながれていなくてフリーな状態なこと。

この日もおじさんのまわりには3匹のフリーな犬たち。
飼い主は寝ちゃってる。

僕が近づいたら、犬が3匹ともこっちに顔を向けた。

僕は子供のころ家で犬を飼っていて、慣れてるつもりだった。
でも通りすがりの犬に噛まれたことが一度あってから少し警戒するようになってる。

フリーな犬3匹に見られたら、やっぱり恐い。

逆方向から、自転車に乗った高校生ぐらいの女の子が来た。
さっきまで僕を見ていた犬たちが、いっせいに女の子のほうを見た。

これは、しょうがない。
僕だってそうする。

ていうか実際に女の子を見ていたので、犬に気づいて彼女の表情がちょっと変わったことが分かった。
女の子がピンチ。

もし彼女に何かあったら僕が助けてあげよう。
勝手に頭の中でヒーローになっていた。

犬たちが静かに見つめる横を、女の子は自転車で普通に通り過ぎていった。

天気は良く、横には川が流れて、道にはおじさんが寝ていた。
平和な朝だった。

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