怒っている言葉や文章に、おもしろくする芸があるかどうかというのは大きなポイントだと思います。
ただ怒っているだけじゃ、しょうがないですからね。
中野翠さんの「東京プカプカ」という本に「コム・デ・ショック」というエッセイがあります。
妹さんとデパートのバーゲンに行ったらコム・デ・ギャルソンの店がなくなっていたと怒る文章です。
好きな店がなくなっちゃうのは、ハラが立つものです。
中野さんは怒るのが仕事のようなひとですから、こういうときはどんどん怒ってほしいと思います。
この文章ではコム・デ・ギャルソンの話から、自然に銀座全体の話に広がっていきます。
好きな店が消えていく銀座について、中野さんはこう書いています。
「残ってるのは超高級ブランドか、いかにも若い子向けの安価だが品質のよくないブランドのものばかり」
なんか共感できる文章です。
終盤では中野さんは、お店を見て回ることを農業に例えています。
商品を見つける楽しさは、農家のひとが芽が出てきたとか実がついたと喜ぶのに近いとか。
そして今の銀座について、こんなふうに書いています。
「そういう意味では、急に野良が荒れてしまったという印象だ。」
銀座を野良に例えちゃうのが、いいですね。
さすが、怒るのが仕事のひとです。
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