2016年5月16日月曜日

風が強い日の女の子


ウチの2階の窓には、雨戸がない。
台風なんかが来ると、ガラスが割れそうで恐いからガムテープを貼って補強する。

最初は茶色いテープを使っていた。
でも外から見られたらと思うと恥ずかしい。

それで最近は透明のテープを貼るようになった。

これなら、あまり目立たない。
その点はいいんだけど、目立たない分、はがすのが面倒になって放置してしまう欠点がある。

もう何年も前なんだけど、とあるハイキング的なものに参加したことがある。

その日も、風の強い日だった。
遠くのほうで、雲がすごい速さで動いていた。

参加していた女の子が立ち止まって、お母さんの手を握りながらその雲を見ていた。
たしか、小学校3年生か4年生の子だったと思う。

雲がある方向に山もあったので、雲が動いているのが分かりやすかった。
女の子は、黙ってジーッと雲のほうを見ていた。

ずいぶん興味を持ってるんだなあと思っていたら、とつぜん女の子がパッとお母さんのほうを向いて、こう言った。

「山が動いてる!」

台風が来ると、僕は窓にガムテープを貼る。
そして、あの女の子の言葉を思い出す。

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