2016年6月16日木曜日

ピート・ハミルの雰囲気優先の例え


分かりやすく伝えたいときに、こまかいデータのような内容を正確に伝えるというのも有効かもしれません。
逆に説明よりも、雰囲気を分かってもらったほうがいいときもあるんじゃないかと思います。

ピート・ハミル著「アメリカン・ジャーナル」(高見浩訳)に「ジョン・ガディ、ロック世代のマフィアのボス」という章があります。

ジョン・ガディというひとはニューヨークを牛耳っていたすごいひとみたいで、文章の中ではアル・カポーネを引き合いに出していたりします。

このジョン・ガディが台頭する前のマフィアの状態を説明する文章があって、こんなふうに書かれています。

「マフィアは、ちょうどリー・アイアコッカが社長に就任する前のクライスラー社のようなドン底状態にあえいでいた」

このあと多少は説明があるんですけど、そういうものは必要ないぐらいです。
アイアコッカが就任する前のクライスラー社がどんなドン底だったか知らないのに、とにかくドン底だったんだなと分かる文章。

ピート・ハミルというひとはこういう表現が好きなようで、この章だけでも

「傲慢なようでいてデリケートなリズムで動く足」とか、

「ギラつく斧のように原初的な属性を持つ…」とか、

意味より雰囲気を優先したフレーズがたくさん出てきて楽しませてくれます。

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